前回のつづきです。
(中編はこちら)

ヤスの甘言(事件は解決しました)にうっかり耳を貸したがために署長に怒られ、またしても捜査が振り出しに戻ってしまいました。
もはや容疑者らしき容疑者もなくなった今、突破口はあるのか。
ポートピア連続殺人事件、完結編です。
そうさほんぶ
とにかくもう一度、事件関係者の洗い出しをする必要があります。
そのためにできることと言えば、相変わらず事情聴取のみ。
今さらの疑問ですが、殺人事件だというのに警察内部からの協力がろくに得られないのはなぜなんでしょう? 捜査本部は設置されたわけですから、ほかにも集められたメンバーがいるはずですが……。まあ、二度も推理を間違えて「事件解決」宣言しているので、周りからの評価が著しく下がっているのは分かります。
もはや崖っぷち……!
ボスとしての威厳が地に落ちる前に、名誉挽回しなくては。
とにかく、もう一度かわむらをよく知るおこいから話を聞いてみましょう。取調室に彼女を呼び出し、かわむらについて聞いてみました。
すると……。
洲本の沢木産業の詐欺?
それがどうし……
えええええ!?
ちょっ……!!
その流れでそれ言う!?
これ、行き詰っていた捜査に投げかけられた一条の光的なファインプレーどころか、腕利き刑事真っ青の犯人検挙じゃない? おこいが刑事になった方がいいんじゃないの?
おこいがそそくさと帰った後、民間人に出し抜かれたショックを隠しきれないまま、ふみえを呼び出せと命じるボス。しかし彼女は、すでにどこかへ行ってしまっていた!
さきほどまで途方に暮れていたのが嘘のような急展開!
そして彼女が行きそうなところは……もはや一つしかない!
あわじしま すもと
すもとにやってきました。
あたりの人に聞き込みをすると、ちょうどうまい具合にさわきさんぎょうの事情を知るおばちゃんを捕まえることができました。
おばちゃんいわく、
・ふみえちゃんはかわいそうな子
・両親の会社が詐欺で倒産した
・その後、両親は自殺
・ふみえ自身は親戚に引き取られた
・ふみえには兄がいた
もうこちらが何を聞かなくても、勝手に色々教えてくれます!
いやー助かる!
そして、肝心な「ふみえの兄」についてさらに聞くと……
・どこに行ったのかは分からない
・肩に蝶のあざがある男の子だった
さらに聞き込みを続けると……
・兄は別の人にもらわれていった
・苗字は(さわきから)変わっているはず
とにかく重要な情報のオンパレード!
しかし肝心のふみえは、どうやら来ていないらしい。そしてふみえがいなくなった今、兄の行方もわからない。
彼らは一体どこにいるのだろうか……?
そうさほんぶ
困ったときは捜査本部へ戻るにかぎります。
すると……
なんと、かわむらの住んでいた部屋の天井裏から、地図らしきものが見つかったとの報告が!
「これは、こうぞうの屋敷の地下迷路の地図では?」
めずらしく、ヤスの直感が冴えています。
こうぞうの屋敷の地下迷路攻略が、文字として書き残されていました。
刑事は足で探すもの。
文字どおり足で探してやりましょう! いざ、こうぞうの屋敷の地下へ!
やまかわのやしき~ちか
ふたたび、こうぞうの屋敷へ戻ってきました。
応接間(となりのへや)の絵の裏にはボタンがあるので、「たたく」でハンマー。
さあ、地下へおりましょう!
地下です。
視点が主観による3Dダンジョンに変わり、矢印キーで前後左右に進むようになります。
このダンジョンは、ほりいゆうじ氏がウィザードリィにインスパイアされたものですね。ちなみにウィザードリィは、「ポートピア」の発売から五ヶ月後に世に出た「ドラゴンクエスト」、RPGという言葉を世に広めた(※1)「ドルアーガの塔」に強い影響を与えた作品でもあります。
またウィザードリィの痕跡は、当ダンジョンにも残されていて……
Monster surprised you(魔物が驚かせた)
これはウィザードィにおいて、バックアタックされた時に表示される言葉です。このメッセージは、ちょうど小部屋の入り口部分に書かれています。ウィズシリーズは部屋の出入り口でモンスターと遭遇することが多いため、この位置に落書きされたのではないかと思われます。
余談はさておき、
『まえ3、ひだり8、ひだり4、みぎ5、ひだり2』
の順に進んでみましょう。
そこまできたら右側の壁へ向きなおり、前へ進もうとしてみて下さい。
上記のメッセージが出たら、場所はあっています。
叩いたくらいじゃビクともしないので、「ばしょいどう」で前へ前へ進んでみましょう。
すると……
隠し部屋発見!!
ここでやるべきことは一つ。
さあ、こみやの言葉を思い出しましょう!
こみや氏の貴重な証言。
「さけぶ」のコマンドはありませんが、似たコマンドならあるはず。
ヤスに命じると……
……おまえは北斗ファンか??
しかしヤスの叫びに応じて壁に穴が開き、日記が現れました。
日記帳を手に取るヤス。
そこには、自らの罪を悔いるこうぞうの本音がつらつらと綴られておりました……。
そして、さわきの子供たちに罪滅ぼしがしたいとも……。
ヤス!どうした?
急に声が震えてるぞ!?
おい、ヤス!
おい……。
…… ……。
そうさほんぶ
……。
…… ……。
でべそ。
「これは蝶じゃありませんよ。斧ですよ」
という言い訳もできそうな気がしますが……
ヤスは観念したようです。
そして、ぽつり、ぽつりと語り始めました。
たしかに殺したのは自分であること。
両親を自殺に追い込んだ二人が許せなかったこと。
現場を密室にした方法。
しかし、カギは内側から差し込まれていたのです。
それは……。
突如として、ふみえが現れました。
彼女の口から、密室トリックの種明かしが語られます。
運命や歴史の分岐点はいつでもどこにでもあると思いますが、今という時点から思い返したから皮肉な結果だと思えるのであり、殺さなければ彼らの気持ちは収まったかといわれればまた別次元の話ではないでしょうか。
もちろん殺す前に別の道を模索していれば、こんな悲劇は生まれなかったのかもしれません。
結局彼は復讐と引き替えに、大切な妹をもまた犯罪者にしてしまったわけですから……。
涙を流しながら抱き合う兄妹を、ボスはただ黙って見つめることしかできなかった。
やがてヤスは立ち上がり、ボスを見て一礼とも頷いたとも見えるような辞儀をし、両拳を合わせた腕を上げた。
すべてが終わったとき、神戸の町は穏やかな夕暮れに包まれていた。そしてサイレンの音と共に、ゆっくりと光が沈んでいった。
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