ウィズダフネをお楽しみ中の皆さん。
ギギと聞いて、ピンときましたか? それとも、画像をみてなんとなく思い出しましたか?
全然思い出せなかった方、プレイ中だけれどまだ出会っていない方、そもそもウィズダフネを遊んでいない方……。
私はギギが大好きです!
ギギと名乗るこのゴブリンは、船の甲板で行われている闘技場で『予想屋』をやっています。競馬の予想屋のようなもので、お金を払うと情報を売ってくれます。
私は初めてこのゴブリンと会話したとき、感動したんですよ!
なぜなら、彼の言葉には説得力があったからです。
短い言葉にもかかわらず説得力が備わっているということは、「伝え方」が上手いということ。
彼の言葉から、伝える技術を学びましょう!
小さなゴブリンの、大きな説得力
では、ギギの話し方から「伝える技術」を学んでみましょう。
そこに至る展開や経緯を知らないと分かりづらい点もありますので、重要な部分のみを抜粋し、より分かりやすい構成にしてみました。
以下、一つずつ見ていきましょう。
お前サンは初戦で死ぬ
最初に、短い言葉で結論を述べる。
なんと言ッテも……
結論に対する主な理由(レプロブスが相手であること)を伝える。
あいつが喋ると~
なぜレプロブスが相手だと、死ぬしかないのか?
1つ目の具体的な根拠(悪臭による状態異常)を伝える。
あいつの武器は~
2つ目の具体的な理由(呪いの武器による攻撃は、必ずクリティカルになる)を伝える。
ナ?死ぬしかないダロう?
具体的な2つの根拠を挙げたあと、結論の念押し。
これで相手に「確かに!」と思わせる説得力を生む。
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ルルナーデは「ゴブリンの割によく喋る」「ゴブリンの割にまともな情報を持っている」くらいしか言いませんが、ここまで分かりやすく伝えられるなんて、人間でもいませんよ!
実際に書いたのはシナリオライターでしょと言われればそれまでですが、私は「本来知能の低いゴブリンが、ここまで分かりやすい話し方をした」ことに感激したのです。
ビジネスで活かす伝え方
世の中には、「伝え方」の技術が溢れています。
細かい技法として、フレームワークやスタイル別の方法がいくつも紹介もされています。そしてそれらには、覚えられない謎の名前がついています (PREP法など)。
そういうものを見せられると「うわーめんどくせえ、無理!」となり、最初から学ぶ気も失せてしまうはず。少なくとも私はそうです。
そこで、おすすめしたいのが「伝え方も、考え方も、シンプルに」。
荒木飛呂彦先生の著書「荒木飛呂彦の漫画術」は漫画の描き方を書いたものですが、「伝え方」という意味では大いに学ぶところがあります。その一つが「削る」です。
私たちは、つい余計なことを語りたくなりますが、あえて語らず、肝心なことだけを口にするという技術がそもそも欠けているように思います。
それを身に着けてもいないのに、むずかしい会話術を学んだところで使いこなせません。
だからこそ、「肝心なこと」だけを「短く伝える」。
そのために必要な構成は「結論」「理由」「結論」でよい。
ギギの言葉を借りれば
お前は死ぬ
↓
【理由(根拠)】
・状態異常をくらうから
・必ずクリティカル攻撃を受けるから
↓
【結論】
だから、死ぬしかない
となるわけです。
難しい技法を、いきなり試そうとしてはいけません。
一部の天才をのぞき、人間は複雑なことを一度に考え、しかも頭で素早く組み立直してスラスラと口にできるような生き物ではありません。
しかし私を含め凡人は「シンプルなことなら、すぐできる」という強みを備えています。
まずは3段階の構成で、短いがまとまりのある言葉を使ってみましょう。
たとえば、上司への業務相談ならこんな感じです。
【結論】
ご相談があります。
〇〇のやり方を、△△に変更してみてはいかがでしょう。
【理由(根拠)】
その理由としまして、現在の方法□□ですと、新人がなかなか理解できないからです。
【結論】
そこで彼らがより早く業務を覚えられるよう、△△にすべきではないかと考えました。いかがでしょうか?
ポイントは、端的に述べるということです。
相手が忙しい人物であればあるほど、プレゼンのように最後まで口を挟まず黙って聞いてくれるわけがありません。途中であれこれ突っ込まれて墓穴を掘るか、長い話をきいてる暇はないと怒られるのがオチです。
しかし上記の例なら、自分自身も難しく考える必要はありません。
シンプルな言葉は、相手も理解しやすいものです。
ギギは優しいゴブリンだ!
その後も、予想屋ゴブリン・ギギと会話する機会はいくどもあるわけですが……。
五回戦を戦う前にギギと話をすると、彼の思いやりの片鱗を見ることができます。
【結論】自分が一番聞きたいことをたずねる
【問いかけの理由】願いを聞いてやろうと思った
【根拠1】(聞いてやろうと思った理由は)誰も勝てないから。
【根拠2】情報を流すこともできないから。
こんなこと、わざわざ主人公に言ってあげるメリットはギギにとっては何もないんですよね。逆に、かなり危ない橋を渡っていると思います。
なのにわざわざ「主人公は勝てない(死ぬ)から、話を聞いてあげよう」って優しすぎるでしょ!
あげく、最後にぽつりと……
本音をもらした!!
これだって、ギギにとってはデメリットでしかないのに!!
しかも知恵を失うことは、死ぬよりも恐ろしいって……。
「賢いゴブリン」になることはギギにとって一番大事な願いで、それが叶った今、失うことを何よりも恐れているんでしょうね。
ゴブリンなのに、この人間くささ!もう可愛すぎるでしょ!!
ちなみにギギは、後の行動次第で縁深き者になります。
これは嬉しい!
もちろん主人公と縁を結びます!
終わりに
「頭の中で論理的に組み立てたことを、口に出して話す」……。
私はこれ自体、かなりの高等技術ではないかと思っています。
友達と他愛ない会話をしているときはもちろん、職場で仕事について話すときも「頭の中に浮かんだことを、そのまま口に出してしまう」人は多いのではないでしょうか。
はたまた誰かと言い合いになったとき、一方的に叱られているとき、答えづらいことを聞かれた時など「つい黙り込んでしまう」「頭の中が真っ白になって何も考えられない」状態になる人も少なくないと思います。
だからこそ「こういう時は〇〇法」と技術だけ教えられても出来ないし、それが難しかったり、いくつも使い分けり必要があるなら尚更です。
そんな時は、ぜひギギの伝え方を思い出してみて下さい!
シンプルでわかりやすく、説得力をもつゴブリンの言葉です。ゴブリンにもできたと考えれば、自分にもできそうだと思えるはず。
……まあ、言っているセリフ自体は物騒なんですけどね。そこはウィズダフネ。
ゴシックな世界観を背景に生きる、狡猾で抜け目がなくて、でも愛嬌のあるこのゴブリン……ギギが大好きなのです!

















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