【FC】ロックマン2と恋

その他:一話完結

ロックマン……それは「一世を風靡した」という陳腐な言葉では到底語り尽くせない、我らがファミコン世代のヒーローである。

▲初代ロックマンのタイトル画面

 

すい星のごとく現れたロックマンは圧倒的人気を誇り、その後は当然のようにシリーズ化される。

その中でも「ロックマン2」は未だ根強い人気があり、私の見るところ、ゲームもキャラクターも音楽もシリーズ中で群を抜いていると思う。wikiによれば、11発売に至るまで最高売り上げ本数が歴代No.1だったそうだ。

 

それほどに、ロックマン2は日本……いや、世界で愛されている。

何よりレトロゲーマーたちにとっては、「2」こそが神々しく輝きつづける一番星なのである…!



魅力的な導入部

ファミコンという8bit時代、とくにアクションにおいては「ファミコン本編でオープニングが語られる」など、ほぼ皆無といってよかった。

 

ストーリーは取扱説明書で知るもの」であり、言い換えれば裸ソフトを購入した子供(&ゲーマー)たちは、物語の内容もゲームの大前提もよく分からないままプレイするしかなかったのだ。

 

しかしロックマン2は違った。

その導入部において、短いながらも戦いの背景を語り、プレイヤーに目的を伝え、ゲームが始まる前からワクワクさせてくれたのである!

 

【ロックマン2 オープニング】


スローテンポな音楽と共に、導入部が語られる。

 

そして画面がせり上がっていき、音楽のテンポも速くなり

 

タイトルが表示されるとともに、音楽が切り替わる!

 

 

なんだこのカッコよすぎなOP!卒倒しそう。

 

抜群の操作性

ロックマンを何度でも遊びたくなる理由として、やはり「抜群の操作性」を挙げたい。

 

ファミコン界にアクションゲーム数多しといえど、ここまでプレイヤーを熱くさせる「シンプルだが軽快な操作性」はなかなかお目に掛かれない。間違いなく当時の子どもたちは狂喜したはずだ。そしてそれは、アクションが苦手な子どもたちすらも魅了した。

 

「あのころ遊んだゲーム」という枠を超え、夢中で遊んだ日々を強烈にすりこまれたレトロゲーマーたちは、時を経てもロックマン2を熱烈に支持するのである。



最高にクールな音楽

私はロックマン2の曲をBGMとして頻繁に聞く。

色褪せるどころか、今なお聞く者に昂揚感を与えてくれる楽曲はまさにファンタスティック! ボスステージのどの曲を聞いてもカッコイイ。どれが一番好きかと聞かれても、甲乙つけがたい。それくらいすべての曲が好きだ。

 

しかし、理由はそれだけではない。オーケストラも好きだが、ロックマンにはそれを求めていない。なぜなら私はレトロゲーマーだからだ。

多種多様なアレンジが散見されても、その中心に座するオリジナルはいつも一つ。そう……やはりレトロゲーマーにはやはり8bit音楽が似合うのである!

 

ロックマン2は、そんな私たちに恵みを与えてくれる癒しの雨だ。何度でも、ファミコン音源を最大に活かしたクールな楽曲目録を堪能したい。

 

個性豊かなキャラクター

ご存知の方も多いと思うが、ロックマンのボスキャラは「一般募集のコンテスト」によって決められていた

あの個性的な面々は、数多くの応募者の中から選び抜かれていたのだ!

 

ロックマン自身がプレイヤーを惹きつける魅力を持っているが、立ちはだかる8体のロボット達もまた強い魅力を放つのも納得。そしてロックマンは、そんな魅力的なボスの誰からゲームを始めてもいい。ステージ選択ができるのである。

 

攻略サイトではもちろん「効率的なルート」が紹介されているが、あえて自分の意思でステージ選択することをおすすめしたい。

 

そしてそれは……恋の始まり



勝てない! これは…恋!?

事の始まりはツイッターを始めた(2023/1月)頃、ロックマン2をプレイした事から始まった。なので、これから語るのは子供の頃の話ではなく、最近の出来事である。

 

長い時を超えてプレイした私は、どうやらメタルマンがめちゃくちゃ苦手らしい。

勝てない。

 

ここで大事なのは、メタルマンが「もう少し頑張れば勝てそうだけど、どうしても勝てない相手」であったことだ。

 

これがクイックマンとなると、あまりに強すぎて「遠くにいる憧れの存在」…… 一昔前の「テレビの向こうにいるアイドルのような存在」となり、強い憧れは感じるが、最初から手の届かないものとして心の多くを占める存在にはなり得ない。

 

しかし対象が「ケンカばかりしている素敵な同級生」だったらどうだろう?

なんとか相手を実力で屈させたいがため、毎日相手のことで頭がいっぱいになり……そしてもう少しで手の届く場所にいると認識したとき、ふと気づくのだ。

 

「あれ、なんだか恋してない?」

「メタルマンに恋してない!?」

 

恋の病とゲーム中毒に効く薬はない

私はメタルマンに勝ちたいあまり、四六時中メタルマンのことばかり考えるようになっていた。ふと気が付くとネットでメタルマンを熱心に検索している始末。

これはいけない、重症だ!

 

昨今では2次元キャラも市民権を得て、周りから見たらバーチャルだが、当人にとってはリアルという恋愛模様が繰り広げられている。

 

もちろん恋愛は自由だ。私はその在り方を否定する気はない。

……が、違うぞ! 私のこれは、それとは違う!

私は硬派なゲーマーとして、強敵である相手を倒したいと思っているのであって……。

 

……じゃあ一体、この胸の差し込みは何?

それはべつの意味で重症かもしれない。

 

事は急を要する。

メタルマン、お前を倒す!



駆け抜けた恋の果て

私はメタルステージを駆けた。ただひたすらに駆け抜けつづけた。そしてボスであるメタルマンのところにたどり着いては砕け散り、たどり着いては砕け散った。

 

そんな時間を、どれくらい繰り返しただろう?

 

トライ&エラーを繰り返していると勝てそうな瞬間はやってくるのだが、「いけるかも」と思った瞬間、チート発動のごとく一気に形勢逆転されるのである。

これはぜひゲーマー界の七不思議に加え、ミステリーハントするべきだと思う。

 

しかし、ついに勝利の瞬間はやってきた。

あれほど私を悩ませた相手が、ついに砕け散った!

私の目の前で!!

 

やった……やったぞーー!!

悲願達成。ついにメタルマンを倒したぞーー!

 

これで私は……

 

……

 

…… ……

 

…… …… ……

 

そして、メタルマンを倒した数日後のこと。

驚いたことに、あれほど過熱していた思いがアッサリ失われてしまったのだ。

 

恋は追いかけているうちが楽しくて、手に入ったら興味がなくなる」というのは本当だった。あのとき目の前で爆発したメタルマンは、その爆風と共に私の前から消え去ってしまったのだ……。

結局のところ、ゲームも恋も、攻略するまでが楽しいのかもしれない。

 

とはいえ、自分の中でメタルマンが「特別な存在」になったことは間違いない

レトロゲームはレトロだけど、思い出はこれからだって作れるのだ。

彼のことを完全に忘れることは、この先もきっとないだろう。

 

そして再びステージ選択画面を眺め、私は思いを馳せるのである。

クイックマン、強すぎ



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