スーパーファミコン史上、最凶最悪のトラウマエンディング。
その名を冠するのが、1993年、サンソフトより世に放たれた「アルバートオデッセイ」である。
この情報を得たとき、私はアルバートオデッセイをプレイしたことがなかったのだ。

これは、自分で確かめねばなるまい
とはいえ、かなり大袈裟に言っているに違いない。
「どうせヒロインが真のラスボスでした~とか、そういうレベルだろ?」
と、プレイ前は甘い考えを持っていた。
しかし実際の有様は、私の予想のはるか上をイっていたのである……。
アルバートオデッセイの世界を、1分で知ろう
はじまりの物語
10年前、オズワルドという自称・大魔導士が「グローバス」という輩を復活させようと目論見、モンスター軍団を使って侵略を開始。
これに対して無敵の騎士団が立ち向かうも、あっさり敗北。
しかしこの侵略によって、父と母を殺された魔道の血をひく女の子が、たった一人でオズワルドを退けたのであった!
10年後の世界
何の脈絡もなく、16歳の誕生日を迎えた勇者・アルバート登場。
家宝の勇者の剣があるので、おそらく家系だと思われるが、じゃあ10年前の勇者様はどこにいたの?という疑問が残る。
いっぽう、嵐の晩に村へやってきたのは、10年前にオズワルドを退けた女の子・ソフィアだった。ソフィアは、かつての力はなくしていたが、未だにオズワルドに狙われているという。王に伝えることがあるので、同行してほしいとのこと。
アルバートの幼馴染である僧侶のノイマンが加わり、三人は旅に出るのだった。

このドラクエⅡと、ドラクエⅢと、ロマサガⅢを足して3で割って、ちょっと味付けした感がなんとも言えない
フィールドと戦闘
ファイアーエムブレムのようなシミュレーション方式で、プレイヤーをマスで動かし、敵が射程内に入ったら攻撃できる。
しかしファミコンにない、スーパーファミコンの新機能「回転」をフル採用したため、視点をグルグル回すという謎システムが出来あがり、プレイヤーを酔わせるに至った。
戦闘画面になると、やはりファイアーエムブレムと同じ横から見た構成になる。
長い旅の果てに……
ついに水晶を手に入れた勇者一行。これで「グローバス」復活を阻止できるぞ!
さあ、ここから謎の急展開が連発します!!
突然現れたオズワルドに水晶を奪われたあげく、殺される主人公。
しかし復活して返り討ち。
「こうなったらグローバスを復活させるしかない」
いやいや! 最初から、そのつもりだったよね!?
……なのに、水晶の力が弱すぎるとの理由で復活失敗。
あれ? 復活できなかった?
……と思いきや、
命令した!
と言うことは、復活はしたけど完全体じゃなかった……とか、そういう事??
え……?
ええええ……?
午前5時、オズワルドは死んでしまった
って……。

もう、どこから突っ込んでいいのか!!
プレイヤーが混乱しているうちに、追い打ちをかけるように事態は急転。
「出でよ!我がしもべたち!!」
マジで着地点どこなの!?
これがラストバトルなの!?
それともまだイベント発生中なの!?
何がどうなってるやら理解できないまま、どうやら本当に戦う模様。
なんか「失敗作として復活したから、まだ進化します」的なアレですか??
戦う前から、すごい嫌な予感……。
見るからにラスボスっぽくないじゃん。
「これからさらにすごい姿になります」みたいなフラグ立ちまくりじゃん。
……あれ?
なんか砕け散りましたけど。
えっ!? 終わり?? 終わりなの??
えっ? えっ? ……
終わった!?
え、本当に? これで終わり?
これは……
この気持ちは、どう表現すればいいんだろう。
ふつうのRPGみたいな「やった倒したー!」ではない何か。
動揺が隠せない。
最大の敵を倒して、こんなにテンションが低いパーティ見たことない。
※注:仲間の誰かが死んだというわけでもない。

プレイヤーの戸惑い度はMAXよ!!
そして最凶エンディングへ
ラストは自分で見る!
……という人は、ここで引き返してね。
城へ戻ると、後ろから声をかけられた。
ダッシュ「アルバート!」
誰だ貴様
……どうやらこの男、ダッシュという盗賊らしいです。
じつはこのダッシュ、必ず仲間になるわけじゃないのです。
私はこの男を仲間にできるなんて知らなかったから、最後に突然あらわれても意味不明。
しかも一緒に旅してないのに、アルバートと親しげに会話するとか……無茶展開すぎ。
つづいて、ガリオク(ドワーフ)とマージン(エルフ)が離脱。
そして王様と対面。
ここまで、いたって和やかな雰囲気。
ストーリーも音楽も、悲惨さを感じさせるような場面はどこにも見当たらない。
「もしかして、トラウマエンディングなんて嘘じゃね?」
そんな錯覚すらおぼえる始末。
そんな中、アルバートが故郷に戻ると言い出した。
「おふくろが心配してるといけないから……」
そして去っていくアルバートを追って、ノイマンも退出。
2人の後ろ姿をじっと見つめるソフィア。
王様に背中を押され、後を追うソフィア。
そしてようやく追いついたアルバートを呼び止めると、
いきなり告白。
ノイマンがひやかしと同時に気遣いをみせて……
ひとりで先に、町の外へ。
なんだ?
この、見てて恥ずかしくなるような展開は……
ギップルちゃんが湧くぞ。
!?
吹っ飛ばされたノイマン死亡
いっぽう町の外へとび出したアルバート。
彼が見たものは……
町を取り囲む大量のグローバスの亡霊
ノイマンも完全に息絶え、ソフィア発狂
そして限界を超えた力の解放
ソフィアの身体から光が放たれ……
世界が光に包まれ……
いきなりスタッフロールが流れはじめる
そしてソフィアは、植物状態に……
「俺たちの手で、この国をつくり上げていくって約束したじゃないか!」
「ソフィア……」
E N D
同時に「パーティ全滅」のような曲が流れだし、あとはピクリともせず。
……なんだこれは。
どこかで分岐間違えたBADエンド?
いや、マジでそうなんじゃね?
ラスボスがショボかったのもそのせいじゃね?
衝撃が大きすぎて呆然とするレベル。
こんな体験、他のゲームでしたことない。
でもこれが正規エンディングでした。
紛れもない公式エンディング。

これはトラウマになるわ……
終わりに
盛ってなかった。
最凶の名に恥じないトラウマエンディング。
最初の「どうせ~だろ」があったので、想像のはるか上をいくエンディングに本気で打ちのめされました。
ちなみに、この物語は公式で続きがあります。
※その名もアルバートオデッセイⅡ
以前ちょっとだけプレイしたけど、けっこうシステムが変わってた気がする。
でも余計なことしないで、これで完結させてれば名を残すソフトになったのに……。
いや、もう残してるか。

自分でやってみたくなった人へ
慣れるまでは、回転に気をつけて
▼ アルバートオデッセイはSFCのゲームだよ
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